国際フォワーディング

危険物輸送手配時の注意点

危険物の輸送には、普通品の輸送とは異なるルールや制約、気を付けなければならない点が複数存在します。

危険物輸送において安全性を確保することは、同じ船舶・飛行機・トラックで輸送されるその他の貨物を守ることはもちろん、倉庫事業者や運送人といった実物流事業者/取扱業者の“命”を守る事にもつながる非常に重要なポイントです。
そのため危険物の輸送については、IMO(国際海事機関)やIATA(国際航空運送協会)が各国共通のルールを定めています。この記事では、危険物の国際輸送手配、特にコンテナでの海上輸送手配における注意点を海上輸送手配の流れに沿って解説していきます。

危険物の国際海上輸送手配の流れ

危険物とはIMOの「危険物輸送に関する勧告(通称“オレンジブック”)」によって定められた9つの分類区分に1つ以上あてまる物品のことを指します。以下では、これらの製品・貨物を海上コンテナ輸送で輸出する場合を例にとって、その流れを解説していきます。

① SDSを確認する

危険物の国際輸送(海上)が決まった際には、はじめにその製品および製品に含有・混合される物質の危険性・有害性が明記された書類「SDS(Safety Data Sheet、MSDSとも)」の「Transport information(多くのSDSではSection.14 orその前後に記載)」を確認するようにしましょう。
文字通り国際輸送を行う上で基準となる「製品名」「Class」「製品毎の国連番号(UN番号)」等が記載されています。尚、和文のものには消防法の該非に係わる記載があるものもあります。

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② 輸送事業者へ輸送・取扱可否を確認する

SDS上の「Transport information」に基づいて、輸送事業者(フォワーダーや船会社)に輸送可否を確認しましょう。
「UN番号」「Class」「容器等級」の情報があれば最低限の輸送可否は確認してもらえると思いますが、事業者によってはより詳しい情報やSDSそのものの提示を求められる場合もあります。
例えば、「Class3:引火性液体類」の輸送に際しては、“引火点”についても情報提供を求められることが一般的です。

③ 輸送事業者から見積を取得する

無事輸送可否の確認ができたら実際の海上輸送費用について見積を取得しましょう。
通常、危険物輸送に際しては危険物取扱追加費用として「DG(Dangerous goods) charge」が加算される、或いはそれらが加算された状態で海上輸送費用が見積られることが一般的ですので、普通品輸送費用と比べてその分割高となります。また上述のDG chargeは船会社や航路、危険物のClassによっても異なる場合がございます。また最終的には製品で異なるという場合もございますので、都度確認が必要となります。

④ 輸送事業者へ本船予約(ブッキング)を行う

海上輸送費用の確認が完了し費用に関する社内外の合意が取得できたら、いよいよ実際に本船予約(ブッキング)を行います。
ブッキングに際しては、危険物明細書(船社指定フォーマット)の提出が求められます。必要記載事項はSDSの「Transport information」の情報に加えて、梱包仕様や重量情報となることが一般的です。
尚、ブッキングの可否については“最終的には本船ごとの判断”となるので、普通品輸送のブッキングと比べて時間が掛かる事が多いです。スケジュールに余裕をもってブッキングを行う事を強くおすすめいたします。また経由地や積替え地(トランシップ港)によっては、追加情報の提供を求められる場合があります。特に上海や寧波といった中国でのトランシップに際しては、製品の詳細情報を事前に求められるというケースが多いので特に注意が必要です。

⑤ 船積み書類の提出・貨物の搬入を行う、本船出港

無事ブッキングが完了したら、最後に船積み書類の提出と貨物の搬入を行います。貨物搬入日は、ターミナルが指定した日となり、「Cut日当日」もしくは「Cut日翌日」と本船出港の直前となることがほとんどですので、その前提で梱包や空コンテナのピックアップなどのスケジュールを組む必要があります。
また港湾・ターミナル事業者に対して、「(コンテナ)危険物明細書」の提出が必要となるので、併せて準備をしておくようにしましょう。
尚、同明細書とその他船積み書類との間に齟齬があった場合、最悪船積み許可が下りないということもあり得ますので、十分注意して確認するようにしましょう。
※普通品輸送では「ブッキングを翌週に繰越し」ということはしばしば発生しますが、危険物輸送においては本船ごとのブッキング可否確認を伴うので、「翌週船では船積み不可」となることも考えられます。

まとめ

危険物の国際輸送手配、特にコンテナでの海上輸送手配における注意点を流れに沿って大まかに解説しました。
上記の通り、危険物輸送手配は普通品のそれと比べて追加書類が圧倒的に多くなりますので、それぞれの書類を漏れなく、タイムリーに、正確に作成するということが非常に重要となります。
各船会社によって提出書類のフォーマットが異なったり、船積みしたい製品によっては船積みに際して追加情報の提示を求められたりと、普通品の輸送手配以上に手間と工数がどうしてもかかってしまいます。
また仕向国によっては、現地到着以降の輸送を行う上で別途必要書類の提示を求められる場合もあるので、その点への配慮も重要となります。 

当社、三菱商事ロジスティクスは危険物輸送において、Class1と7を除く全クラスの輸送手配経験と豊富な実績に基づく危険物輸送ノウハウを有しています。お客様からのどのような些細なお問合せにも誠意をもってお答えいたしますので、お問い合わせをお待ちしております。


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