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危険物輸送の基礎知識

危険物の輸送には、普通品の輸送とは異なるルールや制約、気を付けなければならない点が複数存在します。

危険物輸送において安全性を確保することは、同じ船舶・飛行機・トラックで輸送されるその他の貨物を守ることはもちろん、倉庫事業者や運送人といった実物流事業者/取扱業者の“命”を守る事にもつながる非常に重要なポイントです。
そのため危険物の輸送については、IMO(国際海事機関)やIATA(国際航空運送協会)が各国共通のルールを定めています。この記事では、危険物輸送の基礎知識となる事柄について解説していきます。

危険物とは

危険物とはIMOの「危険物輸送に関する勧告(通称“オレンジブック”)」によって定められた9つの分類区分に1つ以上あてまる物品のことを指します。
「危険物輸送に関する勧告(通称“オレンジブック”)」では、次の5つのことが明確に定められており、それらは厳格に遵守しなければなりません。尚、同一の危険物であっても船便と航空便とでは積載可否および規制内容に関しても異なるケースがあるので気を付けなければなりません。

「危険物輸送に関する勧告(通称“オレンジブック”)」で定められている5つのこと

‐「危険物の運送で使用すべき品名」
‐「国連番号(UN番号)」
‐「国連分類」
‐「クラスごとに表示すべきラベル(標札)」
‐「輸送用容器(包装・梱包方法)に関する要件」

クラスと国連番号(UN番号)

国連分類による9つのクラスと国連番号(UN番号)について紹介します。
危険物はそれぞれ国連番号(UN番号)という「UN+4桁の数字」で構成されますが、それを便宜上1~9のクラス(区分)に分け、そのクラスだけで危険物の大まかな種類がわかるようになっています。

クラス分類詳細/物品名

1

火薬類

火薬、爆薬、弾薬、火工品等
例:花火、など

2

高圧ガス

常温・常圧で気体の物質等
例:ライター、など

3

引火性液体類

引火点が一定温度以下の液体
例:住宅用・自動車用塗料、その他塗料など

4

可燃性物質類

火気等により容易に点火され燃焼しやすい物質や、自然発熱又は自然発火しやすい物質や、水と作用して引火性ガスを発生する物質
例:硫黄、活性炭など

5

酸化性物質類 

他の物質を酸化させる性質を有する物質や、容易に活性酸素を放出し他の物質を酸化させる性質を有する有機物質
例:次亜塩素酸カルシウム(プール消毒剤)、など

6

毒物類 

人体に対して毒作用を及ぼす物質や、生きた病原体や生きた病原体が付着している物質
例:殺虫剤、など

7

放射性物質類

イオン化する放射線を自然に放射する放射性物質や、放射性物質によって汚染された物
例:ラジウム、など

8

腐食性物質

腐食性を有する物質
例:硫酸、など

9

その他の有害性物質

上述の物質には該当しないが、人に危害を与え、又は物件を損傷するおそれのあるもの
例:エアバッグ、ドライアイス、など

参照元:海事:危険物とは - 国土交通省 (mlit.go.jp)

ラベル

危険物の国際輸送(海上輸送)では、品名・クラス・国連番号(UN番号)に応じて、輸送物とコンテナに危険物船舶運送及び貯蔵規則で定められた表示、標札、標識等を正確に表示しなければなりません。
これは危険物の安全な運送及び緊急時に適切な対応を迅速に取るために、コンテナの内容物がどのような危険物であるのかを一目でわかるようにするためです。
輸送物のラベルには、正式品名(Proper shipping name)及び国連番号(UN番号)を記載する必要があります。またコンテナのラベルにも同様の記載が必要となります。
尚、コンテナのラベルはコンテナの側面すべて(全4面)の見えやすい位置に貼付する必要があります。

輸送用容器

危険物の容器及び包装については、国土交通省が定めた技術基準に適合しているものであることを検査し、これに合格した「UN検査証(UNマーク)」を表示しなければなりません。
また、海上輸送の実手配に際しても、船会社から日本舶用品検定協会が交付している「危険物容器検査証」の提示が求められます。
尚、容器には貨物の危険性によって3種類の等級(PG:Packing Group)があります。

容器等級(PG)

 -   高い危険性を有するもの :容器等級I
 -   中程度の危険性を有するもの :容器等級II
 -   低い危険性を有するもの :容器等級III

危険物の海上輸送手配で必要となる書類(例)

危険物の国際海上輸送手配において必要となる書類(例)は次の通りです。
この他にも実運送人や港湾から情報提供が求められる場合があるのでご注意ください。

  • SDS
  • 危険品明細申請書(船社指定フォーマットがある場合がほとんどです)
  • 危険物容器検査証
  • コンテナ危険物明細書
  • その他(Invoice、Packing list、B/L, Sea waybillは普通品輸送時同様に必要となります)

まとめ

危険物の国際海上輸送時の基礎知識について大まかに解説いたしました。
専門性が求められる分野となりますので、特に初めての輸送に際しては各種信頼できるパートナーとなる物流事業者との綿密な連携が必要となりますのでご注意ください。
当社、三菱商事ロジスティクスは危険物輸送において、Class1と7を除く全クラスの輸送手配経験と豊富な実績に基づく危険物輸送ノウハウを有しており、誠意をもってお客様のご要望に対応いたします。

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